このページでは、ロングフィンと一般的に呼ばれている素潜り系で利用されるフィンについて解説をしています。ダイビング用のフィンを利用していて、ロングフィンを購入しようとしている方やロングフィンとダイビング用のフィンのどちらを購入しようか迷っている方向けに解説をしています。
このページの目次
ロングフィンとは
ロングフィンとは、その名の通り一般的には長いフィンを指しています。何と比べて長いかというとスキューバ・ダイビングなどのゴム製フィンや海の監視員などが利用するフィンと比べてです。
ロングフィンの用途は、フリーダイビングと呼ばれる各種競技用のものとスピアフィッシングなどに用いられるものがありますが、基本的には同じような構造をしており、フリーダイビング専用のものを除くとどちらにも使えるロングフィンが多くなっています。その他にもロングフィンの使われ方として、ドルフィンスイム、シュノーケリング、スキンダイビングなどにも多く用いられます。
いづれの用途にも共通することが、水中に深く長く滞在するためにロングフィンを利用するということです。このページでは初心者の方から中級者の方を対象にロングフィンをどのように選んだら良いのかを全体像を説明しながら解説をしていきたいと思います。
ダイビング用のフィンについて
ダイビング用のボンベを背負って利用するフィンの違いでよく言われることが「長さが違う」ということです。ただ実は長さ以外にも異なる点がたくさんあります。そこでまずはダイビング用のフィンについて見ていき、ロングフィンとダイビング用のフィントの違いを解説していきたいと思います。
ダイビングのフィンの素材は?
ダイビング用のフィンは、特殊なものを除くと現在主要なものは以下のいづれかの素材で作られています。
- ラバー(ゴム)素材
- プラスチック(樹脂)とラバーの合成素材
ラバー素材は、ダイビング用のフィンとしては、国内では非常に多く利用されており、最も大きなメリットは丈夫さです。岩場などにぶつけたとしても割れることもなく、多少の傷がつくぐらいです。また、魚などに攻撃されたとしてもラバーのフィンでは形状を変えることがなく潜行の妨げになることはありません。
また、丈夫なラバー製のフィンは、太陽の下や陸地で踏まれたとしてもなかなか劣化しないため、ある程度長い年月利用することができます。そのため、現在では非常に多くの方に使われています。
その代わり、ラバーフィンは非常に重く、酸素消費量も多くなる(より筋肉を使う)フィンのため、海外では次に紹介するプラスチック製のものが主流となっています。
プラスチックとラバーの合成素材は、2つの素材のいいとこ取りです。プラスチックは軽く反発力が強いことから女性用のフィンなどでも多く使われています。そしてラバー素材は先程あげたメリットがあります。この2つを合わせることで軽さと丈夫さをできる限り両立したフィンです。
ダイビングのフィンの長さと重さは?
長さはフィンによって大きく異なりますが、ここでは約24-25cmの方用のダイビング用フィンをいくつか比べて見たいと思います。
メーカー | モデル | 全長 | 重量 |
---|---|---|---|
GULL | MEW FIN (ミューフィン) | 540mm | 740g |
GULL | SUPER MEW(スーパーミュー) | 600mm | 1,045g |
SEAC | GP100 | 640mm | 1,250g |
mares | AVANTI PURE | 540mm | 600g |
いくつかのダイビング用フィンで見比べて見ると長さはだいたい530mm〜650mmの間で収まっています。足の大きな男性用のフィンでは650mmを超えるものも数種類有りましたが、ここでは主要なフィンについて見比べていきたいと思います。
ダイビング用フィンとロングフィンの違いは?
素材の違い
ロングフィンの主要な素材は、カーボンか安価なグラスファイバー製ですが、主に競技などで使われる場合はカーボン製のフィンばかりです。
ロングフィンを使用した競技では、水深40m以上も潜ることはよくあることです。水圧がかかる中でラバーフィンなどの素材では、推進力を生むことが困難になってしまうことがあるため、使用されません。また、次の章にも関わりがありますが、「重さ」も重要なポイントです。
長さと重さの違い
素材で項で、ロングフィンではラバーを使用しない点をあげましたが、ラバーは、カーボンと比べて圧倒的に重い素材です。そのため、重い素材を動かすための筋肉を使用するとより多くの酸素が必要となります。
ロングフィンでは、推進力を生み出しやすい長さと軽さが必要となります。そのため、ダイビング用のフィンとでは大きく異なるのです。
よく比べられるバラクーダとの違いは?
ダイビング用のフィンとしては、「バラクーダ」と呼ばれるGULL社から販売されている世界最長ロングブレードラバーフィンがあります。ロングフィンと言われるとこのバラクーダのことを思い浮かべるかたも多いですが、全く異なるものですので違いと見ていきたいと思います。
まずは、主要なロングフィンとバラクーダとの比較表です。
フィン名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 重量(g) |
---|---|---|---|
GULL バラクーダ | 780mm | 210mm | 1,385g |
LeaderFins | 950mm | 200mm | 1,125g |
カーボニオGFT FORCE(フォース) | 約980mm | 195mm | 約850g |
Cetma Mantra(マントラ) | 約950mm | 200mm | 約900g |
上記表で見て分かる通り、バラクーダとロングフィンとで圧倒的に異なる点は、長さに対しての重量です。
1mmあたりの重量を重量÷全長で見比べて見ましょう。
- GULL バラクーダ:約1.76g
- LeaderFinsのBlueCamo:約1.18g
- カーボニオGFT FORCE:約0.87
- Cetma Mantra(マントラ):約0.95g
このようにバラクーダとロングフィンでは長さに対してのフィンの重さがロングフィンのほうが圧倒的に低いのです。なぜ推進力を求めている同じフィンでもこのように異なるのでしょうか。
それは、ボンベ(酸素)があるかないかの根本的な違いです。重いフィンは、重い分だけ筋肉を動かすために酸素を消費します。軽いフィンは、推進力を生み出しますが、酸素消費量は少ないままです。そのため、フリーダイビングなどで利用されるアプネアのロングフィンは、非常に長いですが、非常に軽く作られているのです。
そのため、長さだけを見て「バラクーダをフリーダイビングなどに使えるかも!」と思わないでください。重く大きなフィンは、無酸素時間を最大化するためには、デメリットが大きなフィンとなります。
もちろん、ダイビングなど有酸素であっても、重く大きなラバーフィンは酸素消費量が大きいため、軽くても同じような推進力が得られるプラスチック製フィンなどのほうが良いでしょう。
最近では、ダイビング専用ではなく、フリーダイビングなどでも使われる丈夫なフィンをダイビングで利用する機会も増えてきています。
まとめ
ダイビング用のフィンとロングフィンでは、同じフィンでも全く異なることがわかったかと思います。2つのフィンの異なる点を主眼にしてそれぞれをまとめると以下の様になると思います。
ダイビング用のフィンは、酸素を利用しながらのため、重くても問題なく丈夫で長時間利用できる素材で壊れないことに充填を置くフィン。
フリーダイビングやスピアフィッシング用のロングフィンは、深くまたは長時間潜るために、極力軽く酸素消費量が少なくフィンを動かすことができ、且つ推進力を生むフィン。
シュノーケルなどでは、ダイビング用のラバーフィンなどでも問題がないと思いますが、フリーダイビングやスピアフィッシングを行う際は、できる限り安全性を確保するために専用のロングフィンを使われたほうが良いでしょう。